家づくりのバイブル

住宅メーカーのCMや宣伝文句にのせられて家を建てる危険性を指摘した、「家づくりのバイブル」（女性建築技術者の会著 1800０円）が三省堂から刊行された。
著者は8人の建築設計者で、全員女性。家づくりは「○○しかない」と言い切れるほど単純ではないのに、断定するCMや本が多く、建て主の思い込みに苦労した経験から「家を建てるなら、これだけは知っておくべき」というプロのアドバイスをまとめた。たとえば最近はCMの影響で「外断熱で省エネ」「オール電化」などを要求する建て主が多いが、実際には関東より西で木造なら内断熱の方が向いているし、オール電化は良いことずくめではない。「調理をガスでするか電気でするか」「不慣れなIHヒーターを家族みんなが使いこなせるか」をよく考えて選んだほうがいい。
ほかにも、「植物を活用すれば西側の窓も役立つ」「通風の原理を利用して風が抜ける家にすれば、冷房なしでも快適」「結露、カビを防ぐには断熱も気密もほどほどに」「低いカウンターの対面キッチンは舞台裏が居間から丸見え」「吹き抜けは匂い・光・音もれ、暖房の対策が必要」など女性ならではの細やかな視点、わかりやすい語り口のアドバイスが満載。イラスト付きで、暮らしやすい家づくりの基本から憧れのロフトや地下室、ウオークインクロゼットの上手な導入法、年寄りが長生きできる設計のコツまでを伝える。