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2006年05月13日

ヴォーリズ設計 川上幼稚園

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ヴォーリズ設計 川上幼稚園

金沢に近代建築の遺産 ヴォーリズ設計 幸町の川上幼稚園/滋賀の豊郷小学校

大正、昭和にかけて日本の近代建築の礎を築いた建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズの作品が石川県内に現存する金沢市幸町の私立川上幼稚園のニュース。
川上幼稚園は、約90年前にヴォーリズが設計した。
ウィリアム・メレル・ヴォーリズとは...
1880年、米カンザス州生まれ。24歳で滋賀県立商業学校の英語教師として来日したが、キリスト教伝道活動が問題となり2年で失職。1908年、京都で建築事務所を開業。住宅、学校、病院、教会、百貨店、ホテルなど全国で1400棟以上の建築設計作品を生んだ。また「メンソレータム」の輸入販売や日本初の私設の結核療養所「近江療養院」(現ヴォーリズ記念病院)を開くなど多岐にわたる事業も展開。19年、子爵令嬢一柳満喜子さんと結婚。41年、日本国籍を取得し一柳米来留(めれる=米国より来て留まる)と名乗った。64年、83歳で他界した。代表作は神戸女学院大、大丸・大阪心斎橋店、山の上ホテル(千代田区)など。

大正、昭和にかけて日本の近代建築の礎を築いた建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズの作品が県内に現存する。金沢市幸町の私立川上幼稚園だ。ヴォーリズ建築をめぐっては、滋賀県豊郷町立豊郷小の保存・解体問題で、町長がリコールされる事態にまで発展した。川上幼稚園には解体の話などない。約90年前の遺産を大切にする園関係者に見守られ、園児たちの歓声は今日も、響き渡っている。
1918(大正7)年に完成した園舎は木造二階建て、のべ床面積474平方メートル。一部屋の面積は広く廊下の天井はアーチ型。一つ一つの窓は大きく数も多い。
園は、カナダのメソジスト(プロテスタントの一派)婦人宣教師会による保育事業が発祥。2階にある高さ約3メートルの天窓からの陽光は、かつての祭壇に注ぐ。
1997(平成9)年の調査で、1階床下に大量に敷き詰められた高級木材ヒノキの木くずが見つかった。ヒノキは湿気を除去する役割を果たしていた。住む人の快適性を追求したヴォーリズらしいこまやかな配慮だった。
実は幼稚園の落成から8年後、金沢市内にもうひとつヴォーリズ作品が生まれた。旧南町にあった大同生命保険相互金沢支社(現金沢信用金庫本店の所在地)。ルネサンス風の威容を誇った。戦時中は空襲による類焼から建物を守るため、周囲の民家が取り壊されたほど、重要視されていた。しかし、1984(昭和59)年、老朽化などのため姿を消してしまう。
豊郷小の校舎が完成したのは1937(昭和12)年。当時、「東洋一の小学校」と称賛されたが、2001年、町長が解体を決定。反対派住民の活動などにより、校舎の保存は決まったが、リコールによる出直し選挙で町長が再選。現在、小学校の授業は新校舎で行われ、旧校舎の利用法はまだ決まっていない。
老朽化が進む近代建築を取り巻く状況は、厳しい。確かに川上幼稚園の園舎の耐震性は万全とは言えない。けれども、室谷理事長は取り壊す気がないのはもちろんのこと、外壁に無機質な筋交いを施す気にもなれない。「貴重なヴォーリズ建築を残すため、県や市に協力してもらい補強策を模索したい」と切に願う。

posted by iezukuri : 2006年05月13日 20:17 | trackback (0)

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