住宅情報・ニュース
2005年08月13日

有害物質吸い取る建材

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録

におい・細菌抑制にも効果

風邪でもないのに、室内にいると頭痛がしたり、目がちかちかしたり。原因不明の不調に悩まされた経験はないだろうか。建材から出る化学物質が原因の「シックハウス症候群」であることも多い。空気中に放出される有害物質を除去しないと治らないが、そんなやっかいな物質を吸着する内装材を、苫小牧市の住宅会社が開発。公立病院にも採用されるなど、利用が広がっている。

開発したのは苫小牧市の大伸産業。多孔質の粒子を付けたシートを、壁や天井の断熱材と壁紙の間に張る。商品名は「エコ・グリーン」。同社の注文住宅のほか、2年前に建設された旭川医大付属病院や、建設中の苫小牧市立病院など採用実績は延べ27万平方メートルになるという。
住宅などにエコ・グリーンを張る場合は、1平方メートルあたり600円程度。コスト高となるが、工藤社長は「住宅の環境対策では日本は欧米にかなり遅れた。今後は環境重視の住宅のニーズはさらに高まる」と話す。

シックハウス症候群は、合板や壁紙の接着剤などから出るホルムアルデヒドやトルエン、キシレンなどの化学物質が原因。2年前に建築基準法が改正されて、一部の使用規制が始まり、大手も加わって新たな建材開発が行われている。
カギとなったのは「セラミック炭」と呼ばれる微細な穴のたくさん空いた粒子だ。工藤社長が数年前、住宅展示場に来るお客さんから、「シックハウスのない家がほしい」という訴えを聞き、「これからは室内環境にも配慮した家づくりが求められる」と、材料探しに取りかかった。
まだ、国の規制基準ができる前のこと。メーカーの建材リストをめくってみても、これといったものは見当たらなかった。吸着力に優れたカーボンに目をつけて研究を続けるうち、間伐材や解体材からできるカーボンとセラミックをブレンドして合成した「セラミック炭」が、「効果あり」と分かった。
混合比を変えては専門業者に試作を頼む、試行錯誤を繰り返し、複数の有害物質を吸い取るセラミック炭を開発。東レの韓国にある関連会社に、薄いシート状に加工してもらい、3年前、製品化にこぎ着けた。現在、特許申請中だ。

住宅に使った顧客からは、ぜんそくやアトピーの症状が改善したなどの声が寄せられている。
製品は、シックハウスの原因物質だけでなく、においを取り、細菌の繁殖を抑制する効果があることも分かってきた。
引き合いは病院や住宅だけでなく、老人施設やペット対応マンションなどに広がり始め、札幌のグループホームや神奈川県箱根町の老人施設からも注文があったという。
食べ物の鮮度を保つ効果も期待できることから、工藤社長は「北海道の農水産物を、遠く本州や海外へ運ぶときの倉庫や段ボールにも、応用できるのではないか」と話し、商品の多角的な展開を考えている。

posted by iezukuri : 2005年08月13日 14:19 | trackback (0)

Previous « α-SE工法 | 二世帯住宅 理想と現実 » Next

“有害物質吸い取る建材”へコメント




保存しますか?


 
To Page Top “有害物質吸い取る建材